【サルでもわかる】学問紹介シリーズ

【サルでもわかる】光学入門! 私たちの暮らしを支える「光の科学」の魅力に迫る!

2024年12月9日

はじめに

みなさん、こんにちは!今回は「光学」というテーマについて、できるだけわかりやすくお話ししていきたいと思います。

「光学」というと、「理科の授業で習ったけどあまり覚えていないな…」「なんだか難しい数式が出てきそう…」というイメージを抱く方も多いかもしれません。

ですが実は、光学は私たちの身近なところに密接に関わっていて、知れば知るほど面白い分野なんです。

たとえば鏡に映る自分の姿や、窓ガラスの向こうに見える景色、スマートフォンのカメラレンズの仕組みや、CD/DVDなどのディスクの表面が虹色に輝く現象まで……。

こうした不思議な現象はみんな光学の世界から生まれているんですよ。

今回は、「サルでもわかる!」を合言葉に、できるだけやさしく光学の基本から応用例までを紹介していきたいと思います。

最後まで読んでもらえたら、「へぇ、光学ってこんなに身近で、ワクワクする学問だったんだ!」と感じていただけると思います。

さっそく、光学の世界に飛び込んでみましょう!

光ってそもそも何?~電磁波のお話~

光は電磁波である

まず最初に「光とは何か?」という大きな疑問からスタートしましょう。

学校の授業で習うように、光は「電磁波」の一種です。

電磁波というのは、電場(電気の力が働く場)と磁場(磁気の力が働く場)が周期的に変動しながら伝わっていく波のことをいいます。

  • 可視光 … 私たちの目で見ることができる波長帯の電磁波(波長が約380nm~780nm)。
  • 赤外線 … 可視光よりも波長が長く、私たちの目には見えないが、温度計測やリモコン通信などで活躍。
  • 紫外線 … 可視光よりも波長が短く、肌を日焼けさせたり、殺菌作用があったりする。

こうした電磁波のうち、目で見える範囲を「可視光」と呼んでいるわけですね。

つまり、私たちが光と呼んでいるのは、電磁波のごく一部にすぎないのです。

光の速さ

光といえば、やはり外せないのが光の速さ

真空中では1秒間に約30万キロメートル(地球7周半くらい)という凄まじいスピードで進みます。

光速は物理学の世界でも絶対的な上限速度として重要な意味をもっており、アインシュタインの相対性理論でも中心的な存在です。

光学の基本現象~「反射・屈折・透過」を見てみよう~

反射

鏡に映った自分の姿や、水面に反射した景色を見るとき、それがまさに反射という現象です。

光が表面に当たって跳ね返るとき、次のような法則があります。

反射の法則
「入射角=反射角」

たとえば鏡に対して垂直に当たった光はそのまま真正面に返りますし、斜めに当たった光は同じ角度で跳ね返るわけです。

皆さんが鏡をのぞき込むときの自分の姿も、角度や位置の関係で決まっています。

屈折

屈折(くっせつ)というのは、光がある媒質(空気やガラス、水など)から別の媒質へ移る際に進行方向が曲がる現象です。

これにも一番シンプルなスネルの法則が知られています。

たとえば、空気中からガラスに入る場合、ガラスの屈折率は空気よりも高いので光は曲がって進むことになります。

これにより、ストローが水に入った部分だけ折れ曲がったように見える不思議な現象などが起きるわけですね。

透過

反射や屈折とは異なり、光が物質を素通りするのが透過です。

窓ガラスを通して部屋の中が明るく見えたり、プラスチックの板を通して向こう側の景色が見えたりするのはこの透過現象のためです。

ガラスやプラスチックなどは、可視光をよく通す性質を持っているんです。

光学の要!レンズと鏡の仕組み

レンズの基本

カメラや望遠鏡、メガネなどに使われるレンズは、光学を語るうえで欠かせない存在です。

レンズは基本的に曲面ガラスによって作られ、屈折現象を利用して光を集めたり広げたりします。

凸レンズ(凸レンズ系):真ん中がふくらんでいて、光を1点に集める性質がある。虫眼鏡などが代表例です。

凹レンズ(凹レンズ系):真ん中がへこんでいて、光を拡散させる性質がある。近視用メガネレンズにも用いられています。

凸レンズによって光を1点に集めると、集光点で紙を焦がすような実験を見たことがある方も多いのではないでしょうか。

まさにあれが屈折を応用したレンズの特徴です。

鏡の種類

鏡というと平面鏡を思い浮かべがちですが、光学の世界では曲面鏡もよく登場します。

  • 凹面鏡 … 中央がへこんだ鏡で、光を1点に集める作用がある。
  • 凸面鏡 … 中央がふくらんだ鏡で、広い範囲が映るように拡散させる性質がある。

車のサイドミラーなどには凸面鏡が用いられており、「実際より広い範囲が映る」ことで死角を減らすメリットがあるわけです。

光の波としての性質~干渉・回折・偏光~

干渉(かんしょう)

光が波であることを強く感じられるのが干渉現象です。

簡単にいえば、「二つの波が重なり合って、強め合ったり弱め合ったりすること」。

身近な例では、CDやDVDの裏面を光にかざしたときに虹色に見えるという現象が挙げられます。

これはディスク表面の微細な溝により光が干渉を起こしているからなんですね。

回折(かいせつ)

回折は、光が物体の端や狭いスリットを通るときに、波が回り込む現象を指します。

シンプルにいえば「障害物の影でも、少し光が広がって届く」というイメージです。

スリットや格子などを使うと、干渉と組み合わさって明るい部分と暗い部分のパターンができるため、いろいろな分光装置などに応用されます。

4-3. 偏光(へんこう)

光は電磁波の一種なので、電場と磁場が振動する向きがあります。

その振動方向が偏ることを偏光といいます。

偏光板は、サングラスやカメラのレンズフィルターなどに使われており、特定の向きの振動のみ通すことで映り込みや反射光をカットする効果が期待できます。

また、偏光顕微鏡では、物質の結晶構造などを詳しく見るために偏光を使う手法があり、バイオ・医学分野などで活躍中です。

レーザーと光学~現代社会を支える技術~

レーザーとは?

近代光学の大きな成果といえばやはりレーザー。

「Laser」はLight Amplification by Stimulated Emission of Radiationの頭文字で、ざっくり訳すと「誘導放出によって光を増幅させる技術」ということです。

レーザー光は次のような特性を持ちます。

  1. 単色性(特定の波長の光だけを強く出す)
  2. 指向性(まっすぐに細く進む)
  3. 位相のそろい(干渉が起こりやすい)

これらの性質を活かして、レーザーポインターやCD/DVDの読み取りヘッド、産業用の加工機、医療用の手術機器などに幅広く利用されています。

レーザー光の応用

  • 通信・情報処理 … 光ファイバーを使った大容量通信に不可欠。レーザーの高速点滅によって、膨大なデジタルデータをやり取りできます。
  • 医療 … レーザーメスや視力矯正手術(LASIK)など、患部にピンポイントで高エネルギー光を当てることで高精度な治療を実現。
  • 産業・加工 … 金属の切断や溶接、3Dプリンタなどで精密加工に用いられています。レーザーは「必要な場所に強いエネルギーを集中できる」ため、効率的で高い精度を得られるのです。

光学の応用事例~身近なところでこんなに活躍!~

カメラレンズと光学

デジカメやスマホのカメラで撮った写真がキレイに映るのは、高度に設計されたレンズ群と光学技術のおかげです。

  • 多枚数レンズ構成 … スマホの薄さの中に複数枚のレンズを組み合わせて、歪みや色収差を補正。
  • 手ブレ補正 … レンズやセンサーを動かしてブレを低減する光学機構。

また、カメラのオートフォーカス機能などには光学技術と電子制御技術が結集しています。

ホログラムやディスプレイ技術

クレジットカードに付いているホログラムや、一部の演出で使われる“立体映像”は、光の干渉や回折を高度に応用した例です。

  • ホログラフィ … レーザー光などを使って、物体の位相情報を含んだ光の干渉パターンを記録し、再生する技術。まるで立体物が浮かび上がるように見えます。
  • ディスプレイ技術 … 液晶(LCD)や有機EL(OLED)は、光の透過や放射を制御する光学工学の結晶です。色再現性やコントラストの向上は、光学膜や偏光技術によって実現しています。

CD/DVD/BDの読み取り

CDやDVD、ブルーレイディスク(BD)の読み取りに使われるのも光学技術です。ディスク面に形成された微細なピット(凹み)やランド(凸部)をレーザー光で読み取り、その反射具合からデータを判別します。

  • CD … 赤外線に近い波長のレーザー
  • DVD … 赤いレーザー(波長650nm前後)
  • BD … 青紫色レーザー(波長405nm前後)

波長が短いほど、より小さいピットを認識できるようになり、記録密度が上がる=大容量化できるわけです。まさに光学の進歩がデジタルメディアの発展を支えてきたといえます。

光学の最先端研究と未来への期待

ナノフォトニクスとメタマテリアル

物質をナノ(10^-9メートル)スケールで制御すると、従来にはなかった光学特性が生まれます。

メタマテリアルは、その代表例であり、負の屈折率や超高感度センサーなどSFのような機能が期待されています。

ナノフォトニクスの研究が進むと、レンズやデバイスがこれまでにない超小型化・超高効率化を実現できる可能性も。

カメラがさらに薄く高性能になったり、AR/VRデバイスが軽量化されたりするかもしれません。

量子光学

1つひとつの光子(こうし)を厳密に制御し、量子コンピュータや量子通信を実現しようというのが量子光学の大きな潮流です。

  • 量子暗号通信 … 光子の量子状態を利用して盗聴を検知できる安全な通信を可能にする。
  • 量子計算 … 膨大な計算を超並列でこなす次世代コンピュータを目指す研究が活発です。

光学が今後、情報技術の最先端を切り拓くカギを握っているともいえます。

生体・医療応用

バイオや医療分野では、光によるイメージング技術やレーザー治療が注目を集めています。

  • 内視鏡の高精細化 … 光ファイバーを使った内視鏡で、体の奥深くまで高解像度の画像が得られる。
  • レーザー手術・レーザー治療 … 正確に組織を切除できるほか、止血なども同時に行え、患者への負担を軽減。
  • 光免疫治療 … 特殊な光を当てることで、がん細胞だけを選択的に攻撃するといった研究も進んでいます。
ぴろき

このあたりの技術は、光学の応用分野である非線形光学が基礎になっているよ!

まとめ

いかがでしたか?

「光学」って最初はちょっと難しそうな響きですが、日常のちょっとした場面から最先端の研究まで、実に幅広く私たちの生活を支えていることがお分かりいただけたと思います。

  • 光は電磁波の一種であり、可視光以外にも赤外線や紫外線、さらにはテラヘルツ波やX線など幅広い波長が存在する。
  • 反射や屈折、干渉や回折などの基礎現象が、鏡やレンズ、カメラ、光ディスクなどの仕組みを理解するうえで重要。
  • レーザー技術は情報通信や医療、産業加工などさまざまな分野で欠かせない存在となっている。
  • ナノフォトニクスや量子光学といった最先端研究では、未来を大きく変える可能性がある。

もし今回の記事を読んで「もう少し詳しく知りたい!」と思ったら、ぜひ教科書や専門書、Web資料などをじっくり読んでみてください。

光学の世界には、一度知ると引き込まれるようなワクワクがたくさん詰まっていますよ。

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